Peace & Kindness

おりじなる

パレットアイランド

第一話
『すばらしき早起き』
東環妃 & kino

ここはパレット島のせせらぎ村。
せせらぎ村のみんなは、とても早起きです。
台所で家族の朝ごはんを作るお母さん、仕事に行くじゅんびをするお父さん、
さんぽをするおじいちゃんやおばあちゃんなど、さまざまです。
ところがおや? えんのすけくんはまだねむっているようですね。


まどからやさしい日の光がふりそそぎ、えんのすけくんのまぶたをてらしました。
「う……う〜ん〜〜〜。ポカポカしてきもちいいな」
 目を覚ましたえんのすけくんは、ベッドの中で伸びをしました。
「今日みたいな日は、もうちょっとねているにかぎる」
 そうしてまた、ぐっすりとねむってしまいました。

 いっぽうゴンちゃんはとても早起き。
 台所に行くと、すでに朝ごはんが並べられていました。
 今日の朝ごはんは、ごはんにおみそしる。そしてお魚です。
 ゴンちゃんのお父さんが、
「おかん、ごはんおかわり」
 と、おちゃわんをさし出しました。
 ゴンちゃんは首をかしげます。
「おとん、そんなに食べてだいじょうぶ?」
「なぁに。朝ちゃんと食べないと、力が出ないからな!」
 ゴンちゃんのお父さんのお仕事は大工さんです。
 ゴンちゃんはごはんを食べおえ、
「ごちそうさま。おいしかったよ」
 と言いました。
「ゴンちゃん。のこさず食べてえらいで〜」
 お母さんにほめられて、ゴンちゃんはうれしくなりました。
 お母さんも、つくった料理を全部食べてくれたので、とてもうれしそうです。

 ゴンちゃんは歯をみがき、学校へ行くじゅんびをして
「行ってきまーす!」
 と元気にあいさつをしました。
 ゴンちゃんのお母さんとお父さんは、
「行ってらっしゃい」
 と言って、ゴンちゃんを送り出しました。
 そしてゴンちゃんは、えんのすけくんの家へと向かいました。

 そのころ、えんのすけくんはまだねていました。
 何か夢を見ているのか、むにゃむにゃとうわごとを言っています。
 妹のももちゃんがやって来ました。
「お兄ちゃん、もう朝だよ! 早く起きて!」
「う~ん。あと5分・・・」
「そんなんじゃ、ちこくしちゃうよ!」
「う~ん・・・ぼくは今、とてつもなくねむいんだ」
 あきれたももちゃんは
「もう知らないからね!」
 と出て行ってしまいました。

 しばらくして、ゴンちゃんがえんのすけくんの家にやってきました。
「えんのすけくーん! おはようー!」
 しかし、えんのすけくんは出てきません。
 ゴンちゃんはそのまま、にわに行きました。
 にわから、えんのすけくんの部屋の中をのぞくことができるからです。

 コンコン、コンコン。

 ガラスのまどをたたくと、えんのすけくんが目をさましました。
「やぁゴンちゃん。おはよう」
 ベッドにねたまま、えんのすけくんはあいさつをしました。
「おはようえんのすけくん。起きて。もうこんな時間だよ」
「こうやって起きてるじゃないか」
「ちゃんとベッドから起き上がらないと、いみないだろ」
「だってねむくてからだが動かないんだよ」
「学校にちこくしちゃうよ」
「それじゃゴンちゃんが起こしてよ」
「ここからじゃむりだよ。自分で起きてよ」
「う~ん。おやすみ・・・」

 コンコンコン。コンコンコンコン。

「わかったよ。今起きるから」
 ゴンちゃんにせかされて、えんのすけくんはやっと起き上がりました。
 だけどまだねむいのか、とてもノロノロしています。

「ママ、おはよう」
「あら、えんちゃん。今起きたの? 学校にちこくしちゃうわよ?」
「うーん・・・」
「朝ごはんは?」
「うーん・・・」
 ママがいっしょうけんめい作ってくれた朝ごはん。
 目玉焼きにトースト、カリカリに焼いたベーコンにホットミルク。
 でも全部冷め切ってしまっています。
 すかさず、ももちゃんが小言を言いました。
「だから起こしたのに。ちゃんと早く起きないお兄ちゃんがいけないんだからね。もう朝ごはん食べる時間ないよ」
「う~ん・・・そうかもだねぇ・・・」
 外からゴンちゃんのよぶ声が聞こえます。
「えんのすけくーん! 早くー!」
「しょうがないなー。ママ、行ってきまーす」
「行ってらっしゃい。えんちゃん」

 学校へ行きながら、ゴンちゃんはあせっています。
「ねえねえ、そんなに早く歩かなくてもいいんじゃない?」
「早く歩かないと、ちこくしちゃうだろ」
「そんな、まだだいじょうぶだよ。あ、見てゴンちゃん」
 近くで飛んでいたちょうちょうがとてもきれいで、えんのすけくんはちょうちょうをおいかけていきます。
「えんのすけくん! より道してる時間はないよ!」

 けっきょく二人はちこくしてしまいました。
 まわりのクラスメイトたちがクスクスと笑っています。
「ちこくだって~ カッコ悪い~」
 ゴンちゃんはとてもはずかしい気持ちでいっぱいになりました。
 いっぽう、えんのすけくんはあまり気にしてはいないようです。
 ゴンちゃんが、
「先生、ちこくしてごめんなさい」
 とあやまりました。
 だけどえんのすけくんは、何も言いません。
 まどの外の雲の方が気になるようです。
「えんのすけくん。何か言うことはないのかな?」
 先生はちょっとおこっています。
 えんのすけくんは、どうして先生がおこっているのか分かりません。
 ゴンちゃんがえんのすけくんのひじを突っつきました。
「えんのすけくん。ちゃんとあやまろう?」
「え、なんで?」
「だってぼくたちは、ちこくをしたんだよ? 学校とのやくそくをやぶったんだから」
「うーん。でもそれって、学校がかってに決めたことだしなぁ」
 えんのすけくんは、なっとくしないようすです。
 しかし、ゴンちゃんからいっぱいひじを突っつかれてやっと
「ごめんなさーい」
 と先生にあやまりました。

 席についてゴンちゃんは、えんのすけくんに言いました。
「だから言っただろ。ちゃんと起きなきゃダメだって」
「でも、ねむたかったんだから仕方ないよ」
「えんのすけくんのせいで、ぼくまでちこくしちゃったじゃないか」
「ぼくのことは気にしないで、先に行っててくれてよかったのに」
 ゴンちゃんはそれを聞いておこりました。
「君が友達だから、ほうっておけなかったんだ!」
 えんのすけくんはハッとしました。
「もう、えんのすけくんなんか知らない!」
 ゴンちゃんは行ってしまいました。

 えんのすけくんの心がキュッと痛みました。
 朝ごはんを食べなかったせいで、おなかがグゥ~っとなりました。
 大きな悲しみが、えんのすけくんの心におしよせてきました。

 次の日の朝、
 ジリリリリリリリ
 という音で、えんのすけくんは目をさましました。
 ベッドのよこで、4つのめざまし時計がなりひびきます。
「ここまでしないと起きられないなんて、ぼくは本当に起きるのが苦手なんだなぁ」

 えんのすけくんが台所に行くと、良いにおいがただよってきました。
「あらえんちゃん。おはよう」
「おはようママ」
「とても早く起きたのね。良いことだわ」
「まぁ、たまにはね」
 えんのすけくんの目の前に、おいしそうな朝ごはんがならびました。
 今日はパンケーキです。
 ホカホカでアツアツのパンケーキ。
 バターがじわっとパンケーキにしみこみます。
 そして、金色にかがやくハチミツがトロリとパンケーキにかかっています。
 えんのすけくんは、思わずよだれをたらしました。
「いただきまーす!」
 一口パンケーキを食べたとたん、口の中にしあわせが広がりました。
「おいしい~」
 ねている間に空っぽになったおなかにも、しあわせが広がりました。
「ふふふ。良かったわ。ママ、うれしいわ」
 そこへ、ももちゃんがやってきました。
「おはよう」
「おはよう、ももちゃん」
「あれ。今日は朝早いんだね、お兄ちゃん。なにかあったの?」
「ううん別に。何もないよ」
「うそ、なにかあったでしょ」
「ううん。別に」
「あやしい・・・」
「それよりももちゃんも、パンケーキ食べなよ」
「あ! おいしそう~! いただきま~す!」

 朝ごはんを食べおわったえんのすけくんは
「行ってきまーす」
 と言って家を出ました。
 むかう先は・・・

 ゴンちゃんはいつも通り、早く起きて朝ごはんを食べていました。
「おかん。たまごやき、すごくおいしいよ」
「そらよかったわぁ。ほら、口についとるで」
「あ、うん・・・」
 ごはんはこんなにおいしいのに、ゴンちゃんはどこか元気がありません。
 昨日のことが思い返されます。
「きつく言いすぎたかも・・・本当はなかなおりしたいのに」
 そのとき、外からききなれた声が聞こえてきました。
「ゴンちゃん。おはよう」
 ゴンちゃんはハッ! としました。

 げんかんを出ると、そこにはえんのすけくんがいました。
「ゴンちゃん、ちょっとおそいんじゃない?」
「えんのすけくん・・・」
「学校にちこくしちゃうよ」
「それ、きのうぼくが言ったセリフだよ」
「そうだっけ? まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしない」
 二人はなんだかおかしくて、笑いあいました。

 なかよく二人は、学校への道を歩いていきます。
「ねえ、ゴンちゃん」
「なぁに?」
「えっと・・・」
「どうしたの?」
「うん・・・きのうは・・・」
「ん?」
「きのうは・・・ごめんね」
「うん。ぼくもいいすぎたよ。ごめんね」
 その日、二人はちこくすることなく、学校にぶじにつきました。
【考えてみよう、話し合ってみよう】
  • みんなはちゃんと、朝早く起きられているかな?
    朝早くおきることは、どうして良いことなんだろう?
  • えんのすけくんは、なかなか先生にあやまらなかったね。
    学校とのやくそくを守ることは、どうして大切なのかな?
  • きみが友達とケンカしたとき、仲直りするためには、どうする?

PAGE TOP

Copyright © Peace & Kindness Inc. All Rights Reserved.