Peace & Kindness

おりじなる

パレットアイランド

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第二話
『えんのすけくんは、ポチが苦手!?』
東環妃 & kino

ここはパレット島のせせらぎ村。
今日も島にはやわらかな太陽の光がふりそそぎ、草や花や木はごきげんです。
「ポチ! あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ゴンちゃんといっしょにさんぽをしているポチもウキウキが止まらないのか、道の向こうまで走って行きます。
「アンアン!」
ポチはゴンちゃんの家族の一員で、おさんぽが大好きです。
こんなあたたかなようきの中で思いっきり走るのは、きっと気持ちが良いでしょうね。


ゴンちゃんとポチが、おさんぽから帰って来ました。
げんかんの前まで来た時、ゴンちゃんはあることに気がつきました。
ゴンちゃんの家のげんかんの横にはポチせんようのげんかんがあるのですが、
そこに「ポチのげんかん」という文字と、お花の絵がかかれていたのです。
「おかしいな。こんなのかいたおぼえはないのに・・・」
するとゴンちゃんのお母さんが家の中から出てきました。
「あ、おかん、ただいま」
「おかえりゴンちゃん」
どこかお母さんのようすがいつもとちがいます。
こしに手をあてて、なんだかプリプリしています。
「どうしたの? おかん?」
「このポチのげんかんのらくがき、ゴンちゃんがやったん?」
「えぇ!? そんな、ぼくじゃないよ!」
「……そうなん?」
お母さんは考えました。
ゴンちゃんはたまにいたずらをするけれど、らくがきをするような子ではありません。
お母さんはため息をついて言いました。 
「どこのだれか知らんけど、ほんま めいわくなことしてくれるわ」
お母さんはゴンちゃんに、バケツとぞうきんをわたしました。
「ほな、おかんは買い物に行ってくるから、このらくがき、消しといてな」
「ええ? ぼくが? なんで?」
「おかんはいそがしいんや。たのむで」
そう言って、お母さんは買い物に行ってしまいました。
ゴンちゃんはふまんです。
『ぼくがらくがきをしたわけじゃないのに、なんでぼくがそうじをしないといけないんだ』と思いました。
「さぼっちゃおうかな」
だけどあとでおこられるより、今そうじをしてしまった方が良いかも、と考え直しました。

バケツに水を入れて、ぞうきんをかたくしぼります。
ポチがあそんでほしいというように、ボールをくわえて来ました。
「ごめんねポチ。ボールあそびはあとでね」
ポチはあきらめたのか、むこうに行ってしまいました。

ゴシゴシと力をこめて、ゴンちゃんはポチのげんかんをそうじします。
「それにしても、だれだろう。こんないたずらしたの」
そこへ、えんのすけくんがやって来ました。
「やあゴンちゃん。何をしているの?」
「だれかがかいたらくがきを消してるんだよ」
ゴンちゃんはその時、あることに気づきました。
「あれ?」
「え?」
ゴンちゃんがえんのすけくんの頭をじーっと見つめます。
「えんのすけくん。君の頭、すごく丸くなってるけど・・・」
「あ・・・」
えんのすけくんの頭がいつものようにとがっていません。
なぜか丸まっています。
ゴンちゃんはそれを見て思いました。
「もしかして、このらくがきをしたのは えんのすけくんかい?」
「まさか。ぼくじゃないよ」
「本当?」
「本当だよ。それよりも、よかったらぼくもそうじ手伝うよ」
「やった! ありがとう、えんのすけくん」
えんのすけくんは、近くの地面の上にねっころがり、もってきたおかしを食べはじめました。
「手伝ってくれるんじゃなかったの?」
「手伝ってるよ。気持ちだけね。ここからおうえんしてるよ。がんばれー
ゴンちゃん」
ゴンちゃんは少しイライラしましたが、こんなのはいつものことです。
ゴンちゃんはそうじをつづけながら、えんのすけくんに聞こえるように言いました。
「こんないたずら、だれがしたのかなぁ」
「さぁ~」

しばらくたって、ようやくそうじがおわりました。
「ふう。やっとおわった」
えんのすけくんは、よっこらしょと立ち上がり、
ポチのげんかんの方にやって来ました。
「まだ、きたないところがあるよ。きれいにしてあげるよ」
「本当? たすかるよ~」
するとえんのすけくんは、せっかくゴンちゃんがきれいにしたポチのげんかんに、
自分の頭をつかってクルクルとお花をかきはじめました。
「なんてことするんだ! やっぱりえんのすけくんのしわざだったんだね!」
「だってここはポチのげんかんだもん! わかりやすいようにしてあげただけだよ〜!」
「そんなの たのんでないだろ! おかげでぼくがそうじをすることになったじゃないか! ゆるさないぞ!」
ゴンちゃんはにげようとするえんのすけくんをつかまえようとしましたが、
近くのバケツを足でけとばしてしまいました。
ぞうきんをあらった きたない水が、広がっていきます。
「あああ! どうしよう!」
「ぼくのせいじゃないもん」
その時、ポチがやって来ました。
えんのすけくんはポチを見て、はっ! としました。
ポチがえんのすけくんを見つめます。
『きっと、えんのすけくんがゴンちゃんに何かめいわくをかけたにちがいない』
そう、ポチは思いました。
ポチのおだやかな顔が、どんどんけわしくなり、低い声でうなりはじめました。
「そ、それじゃあぼくはこれで。じゃ~ね~」
えんのすけくんはピュ〜っとにげてしまいました。
ポチもゴンちゃんもおこっています。
「もう! 二度とあそばないからね! きらいだ!」
「アンアン! アンアン!」

家についたえんのすけくんは、ホッとため息をつきました。
「ふう・・・やっと家についた・・・。こわかったな〜」

えんのすけくんがげんかんを開けると、台所からほわ〜っといいにおいがしてきました。
のぞいてみるとももちゃんが、チョコレートケーキを食べようとしているところでした。
「あ! チョコレートケーキだ!」
ママが言いました。
「えんちゃんの分も、あるわよ」
「わーい!」
えんのすけくんの目の前に、チョコレートケーキが出されました。
「いただきまーす!」
フォークを近づけると、ももちゃんがお皿をヒョイともち上げました。
「何するんだよ、ももちゃん」
「お兄ちゃん。その頭どうしたの?」
「えっ」
ママもそれに気づきました。
「あら本当だわ。ももちゃん、お兄ちゃんをゴンちゃんのお家につれて行ってあげて」
「はーい」
「いやだよ! ぜったいにいやだー!」
ママがほほえみながら言いました。
「虫歯ができたり、けがをしたら、病院に行くでしょう? きかいがこわれたら、しゅうり屋さんに行くでしょう? 頭が丸くなったら、ゴンちゃんの家に行かないといけないでしょう?」
「それは・・・そうだけど・・・」

そのころ、ゴンちゃんはやっとポチのげんかんを そうじしおわったところでした。
「なんだか、らくがきされた前より、きれいかも」
ゴンちゃんはうれしくなりました。
そうじって、こんなに気持ちが良いものなんだなぁと思いました。
その時、遠くから誰かの声が聞こえてきました。
「いやだ~! やだ~! ぜったいやだ~!」
えんのすけくんの声です。

ももちゃんに引っぱってこられたえんのすけくんは半泣きです。
「どうしたの、えんのすけくん」
ももちゃんに引っぱってこられたえんのすけくんは半泣きです。
「どうしたの、えんのすけくん」
えんのすけくんのようすがいつもとちがうので、ゴンちゃんはえんのすけくんをおこっていることなんて、わすれてしまいました。
「な、なんでもないよゴンちゃん」
「お兄ちゃんの頭が丸いから、おねがいしようと思って」
えんのすけくんの頭を見て、ゴンちゃんはなるほどと思いました。
「ああ、そういうことか。ポチ! おいで!」
のっそりとポチがやって来ました。
ポチを見て、えんのすけくんはふるえました。
「いやだ! ぼく、ポチやだ!」
「お兄ちゃん。子どもみたいなこと言ってないで、早く」
ポチがあんぐりと口をあけました。
実は、ポチはゴンちゃんの家の一員というだけでなく、えんのすけくんたちの頭をととのえる大事な役目を持っているのです。 

頭をととのえた えんのすけくんを見て、ももちゃんが言いました。
「お兄ちゃん、いい感じになったね~」
えんのすけくんは頭をさすりながら、ぼそりとつぶやきました。
「だからポチは苦手なんだ・・・」
「ももちゃんも、ととのえてもらおうかなぁ」
「じゅうぶんとんがってるから、まだだいじょうぶでしょ」
ゴンちゃんはなみだ目のえんのすけくんに、
「だいじょうぶ? えんのすけくん」
と、やさしく声をかけました。
えんのすけくんは、少しふきげんです。
「だいじょうぶじゃないよ」
「だれにだって、苦手なことはあるよね。ぼくも ちゅうしゃは きらいだもん」
めいわくをかけられたけれど、ゴンちゃんはえんのすけくんの肩をやさしくさすってあげました。
えんのすけくんの胸に何かがこみ上げて来ました。
「ゴンちゃん」
「なあに?」
「らくがきなんかして、ごめんね」
「うん。もういいよ。そうじをして、前よりきれいになったし」
「ごめん・・・」

それから数日がたちました。
「あー! またらくがきだー!」
またしてもポチのげんかんに、らくがきがかかれていました。今度は下手なポチのにがおえです。
「どうせまたえんのすけくんだな!」
ゴンちゃんはプリプリとおこっています。
そのようすを、えんのすけくんは近くのしげみから見ていました。
手にはクレヨンをもっています。
「あはは。大せいこ〜う。ポチが見たらどんな顔するかな〜」
「アン!!!」
「ん? わああああ!!!」
いつの間にか、えんのすけくんのとなりにポチがいました。
えんのすけくんはにげようと立ち上がりました。
しかしあわてていたために、石につまづき、そして・・・

ポキッ

なんと、せっかくととのえた頭が、おれてしまいました。
ポチがにやりと笑います。
「アンアン!」
「もう、いやだよー!」
【考えてみよう、話し合ってみよう】
  • えんのすけくんはらくがきを楽しんでいたけれど、自分が楽しいからといってそんなことをしてもいいのかな?
  • ゴンちゃんはそうじを終わらせたあと、どんな気持ちになったかな? 君はさいきん、そうじをしたかな? 
  • ゴンちゃんはらくがきをされておこっていたのに、半泣きのえんのすけくんを見て、心配そうに声をかけたね。もしも君がゴンちゃんだったら、どんな言葉をかけるかな?

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