Peace & Kindness

おりじなる

パレットアイランド

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第三話
『ゴンちゃんが、かぜひいちゃった』
東環妃 & kino

ここはパレット島のせせらぎ村。
水や緑がゆたかなこの村で、みんなは毎日、けんこうにすごしています。
「ゴホン、ゴホン」
おや? だれかがかぜをひいているようですね。めずらしいこともあるものです。
よーく耳をすませてみると……どうやらゴンちゃんの家からのようですね。
ちょっとのぞいてみましょうか。 


ゴンちゃんはその日、かぜでねこんでいました。食よくはなく、体の色が青色になっています。
「はぁ……早くよくならないかな……」 
 しばらくすると、外からえんのすけくんの声が聞こえてきました。
「ゴンちゃん。お見まいに来たよー」

 えんのすけくんがゴンちゃんの部屋に入ると、ゴンちゃんは よわよわしくニコリとほほえみました。
「やぁ、えんのすけくん」
 えんのすけくんは心配そうに、ゴンちゃんをのぞきこみます。
「ゴンちゃん、だいじょうぶ?」
「ありがとう。ねてれば だいじょうぶだと思うよ」
 えんのすけくんは、クンクンとゴンちゃんのにおいをかぎはじめました。
「何してるの、えんのすけくん?」
「ゴンちゃんが病気になるなんて、めったにないからね。青色だから、ソーダのにおいがするよ。
今のうちに、いっぱい かいでおかないと」
「ダメだよ。かぜがうつっちゃうよ」
 えんのすけくんは、ゴンちゃんのにおいをかぐのが大好きなのです。
 つぎに、えんのすけくんはおかしを取り出しました。
「ゴンちゃん。ぼく、おかしもってきたんだ。
ゴンちゃんが好きなじゃがいもチップスだよ。食べる?」
 するとゴンちゃんはゆっくりと首をよこにふって言いました。
「ありがとう。でも今はいいよ」
 えんのすけくんは少しがっかりしました。二人でおかしを食べたかったからです。
「それじゃあ、何か食べたいものある?」
「うーん、あんまりないかなぁ……あ、おかゆだったら食べられるかも」
「おかゆか〜」
 えんのすけくんは少し考え、そうだ! と手を打ちました。

 えんのすけくんは、えんがわで お茶をすすっていたおじいちゃんを見つけて言いました。
「じっちゃん、こんにちは。ちょっと おねがいがあるんだけど」
 おじいちゃんはおどろきました。
「おや、ゴンちゃんの知り合いかね?」
「友達のえんのすけだよ。この前も、同じこと言ったよ」
「おや、そうかえ?」
 ゴンちゃんのおじいちゃんは、ちょっとだけボケていますが、とてもやさしいおじいちゃんです。
 えんのすけくんはおじいちゃんをつれて、台所へやってきました。
「それで、一体 何をしたいんじゃ〜?」
「今からおかゆを作るから、クッキングヒーターをつけてほしいんだ」
「お〜け〜お〜け〜」
 子どもたちは、火を使う時は かならず大人といっしょにと、いつも言われているのです。
「あじつけは……」
 さっきゴンちゃんと食べられなかった じゃがいもチップスをとり出しました。
「チップスはしょっぱいから、しおの代わりに使えるもんね。ほかには……」
 キョロキョロとあたりを見回すと、くだもの入れに、バナナがありました。
「バナナは えいようまんてん だからね。ぼくも好きだし」
 くだもの入れの近くの戸だなをあけると、そこにはチョコレートがありました。
「バナナとチョコの あいしょうは ばつぐんだからね。入れてみよっと」
 れいぞうこをあけると、お魚と野菜がありました。
「体力つけるには、ちゃんとお魚も野菜も食べないとね。あとは……」
 れいぞうこの おくのほうに、キムチを見つけました。
「からいのは、たくさんあせが出るもんね」
 全てのざいりょうをなべの中にいれ、グツグツとにこみます。
 おじいちゃんはそのようすを、イスにすわってお茶をのみながら、見ていました。
「えんのすけくんや、なんだかへんなにおいがするぞ〜い」
「そう? 気のせいだよ。だいじょうぶ だいじょうぶ」
 そして数分がたちました。
「よし! できた!」
 なんとも言えないきみょうな色になりましたが、えんのすけくんは大まんぞくです。
「ゴンちゃんきっと、おどろくだろうな」
 えんのすけくんがウキウキしながらゴンちゃんの部屋にもどると、ゴンちゃんは目をさましました。
 どうやらいつのまにかねむっていたようです。
「ゴンちゃん、できたよ。起きられる?」
「えんのすけくん。できたって……何が?」
「えへへ。おかゆだよ。お・か・ゆ」
「え? おかゆ?」
「さっき、おかゆだったら食べられるかもって言ってたじゃん?」
 ゴンちゃんはゆっくりと体を起こしました。
「うわぁ。うれしいな。ありがとうえんのすけくん」
「どういたしまして。はい、どうぞ。
ぼくが作った、とくせいのおかゆだよ」
 ゴンちゃんはおかゆを見てびっくりしました。
 目の前には今まで見たことのない料理があり、
ドロドロしていて、へんな色とにおいがします。
 ゴンちゃんの体から、じわっとあせが出て来ました。
「あ、ありがとう えんのすけくん。
でも、せっかく作ってくれたのに悪いんだけど、
急に食よくがなくなってきたかも……」
「そんなこと言わないで、さあ、どうぞどうぞ」
 えんのすけくんがスプーンにおかゆをとり、ゴンちゃんの口元に近づけます。
 強れつなにおいに、ゴンちゃんは「うっ」とうめきました。
 しかし、おかゆをしばらく見つめ、ゴンちゃんはけっしんしました。
「いただきます」
 ゴンちゃんは息を止めて、おかゆを口に入れました。
「ううっ」
「どーお?」
「……」
 口の中にはきみょうな味がどんどん広がっていき、ゴンちゃんの青い体とソーダのにおいが、ますます こくなっていきます。
 それでもゴンちゃんはせいいっぱい笑顔をうかべました。
「おいしいよ。えんのすけくん。ありがとう」
 えんのすけくんはハッとしました。
 ゴンちゃんの目には、うっすらと涙がたまっていたからです。
 えんのすけくんは急に むねのおくがいたみだしました。
「もう一口食べるよ」
「まって、ゴンちゃん」
「え?」
「しっぱいしちゃったみたい。もう一度作り直してくるよ。ちょっと待っててね。すぐもどって来るから」
 えんのすけくんは自分の家へと帰りました。

 リビングでは、ももちゃんがピアノのれんしゅうをしていました。
「ももちゃん、ママは?」
「ママなら、おばあちゃんの家だよ」
「え〜っ? こんなときに~」
「どうしたの?」
「おかゆの作り方を教えてほしいんだ」
「おかゆなんてかんたんだよ」
「それが上手くいかないからこまってるんだよ」
「ももちゃん、知ってるよ」
「本当? 教えてくれる?」
「いいけど、ももちゃんのピアノと歌を聞いてくれたらね」
「えっ……」
 ももちゃんはピアノは上手ですが、歌は うえきばちの元気な花もしおれてしまうくらいオンチなので、
えんのすけくんはなやみました。
 歌とピアノを聞いて、おかゆの作り方を教わるか。それとも、聞かないで自分でどうにかするか。
「うーん」
 できれば歌は聞きたくありません。前に、ももちゃんの歌を聞いて、体ちょうがわるくなったことがあったのです。
 だけど、ゴンちゃんの「ありがとう」という言葉を思い出しました。
「ももちゃん。ピアノと歌を聞くから、おかゆの作り方、教えてくれる?」
「うん! いいよ!」
 ももちゃんは大よろこびで、ピアノをひきはじめました。

川のせせらぎさ~らさら~
たいようの光ぴ~かぴか~
みんなで歌おう、ら~ららら~
ここはパレットアイランド~

 ピアノはよいのですが、やはり歌はオンチです。
 えんのすけくんはだんだん苦しくなってきました。
「なんだか、息がつまるかんじがする。頭もちょっと痛いような……でも、
きっとゴンちゃんも、このくらい苦しいんだろうな……」
 ももちゃんのピアノと歌がおわりました。
「どうだった?」
「うん、いつもどおり……」
「いつもどおり?」
「いつもどおり、すてきなピアノだったよ」

 ゴンちゃんの家に、えんのすけくんとももちゃんがやって来ました。
 台所に行くと、おじいちゃんは まだお茶をのんでいました。
「ちょうどよかった! じっちゃん、そこにいてね」
 ももちゃんがさっそく、しきります。
「まずはお米をあらうのよ。水がきれいになるまであらってね」
「うーん。思ったんだけどさ、ももちゃんが作った方が早くない?」
「作り方を教えて、っていう約束でしょ。ももちゃんが作るっていう約束はしてないもんっ」
「うーん……それもそうだね。がんばるよ」
 おじいちゃんはお茶をすすりながらほほえみました。
「ええのう。なんだか……ええのう」
 次はおなべを火にかけます。
「じっちゃん、クッキングヒーターのボタンよろしく!」
「お〜け〜お〜け〜」

 えんのすけくんとももちゃんがゴンちゃんの部屋に行くと、ゴンちゃんが目をさましました。
「やぁ、えんのすけくん。ももちゃんもいるんだね。あれ、なんだかいいにおいがするけど」
「おかゆを作り直したよ。食べてみない?」
 ゴンちゃんの目の前にあるのは、さきほどの へんなおかゆ ではなく、トロトロとしたおいしそうなおかゆです。
「わぁ、すごいね。なんだか 食よくがわいてきたよ」
「はい、口あけて」
 えんのすけくんはフーフーとおかゆを冷まして、ゴンちゃんに食べさせてあげました。
「どう?」
 ゴンちゃんはおかゆを口の中で味わい、ゆっくりとのみこんだあと、ニコリとして
「今まで食べたおかゆで、一番おいしいよ」
 と言いました。
 ゴンちゃんの青色だった体が、だんだんとうすくなってきたようです。
 えんのすけくんのおかゆのおかげで、ゴンちゃんはだんだんと元気が出てきました。
 そして、えんのすけくんはすごくうれしくなりました。

 ももちゃんも とくいげです。
「ももちゃんが教えたんだから、おいしいのは当たり前よ」
 ゴンちゃんは、えんのすけくんが作ったおかゆを、きれいにぜんぶ食べおえました。
「おなかいっぱいになったら、なんだかまたねむくなってきたよ」
「そうだね、ねた方がいいよ」
 ゴンちゃんのまぶたが、重くとじようとしています。
「ゴンちゃん」
「なぁに? えんのすけくん」
「さっきはごめんね」
「え……? さっき?」
「えっと、その……」
「スー……スー……」
 どうやらゴンちゃんは、ねむってしまったようです。
 その ね顔を見て、えんのすけくんは「早く良くなってね」と言いました。

 えんのすけくんとももちゃんは、手をつないでなかよく家に帰りました。
「ももちゃん、たすかったよ」
「そう? どういたしまして」

 えんのすけくんが出て行ったあと、ゴンちゃんのお母さんが、買い物から帰って来ました。
 台所に入るなり、お母さんはびっくりしました。
 なべや しゃもじやお米が、あたり一面にちらばっています。
 台所では、おじいちゃんがまったりとお茶をのんでいました。
「これ、じっちゃんがやったん?」
「お~け~お~け~」
「そうやな。お〜け〜お〜け〜……って、なんでやねん!」

【考えてみよう、話し合ってみよう】
  • えんのすけくんは ねこんでいるゴンちゃんと、おかしをいっしょに食べようとしていたけれど、それでよかったのかな? 
  • えんのすけくんは台所を使おうとした時、おじいちゃんを呼んでいたね。それはどうしてかな?
  • えんのすけくんは、おいしいおかゆを作って ゴンちゃんをよろこばせることができたね。
    でも、台所を使って、そのまま家に帰ってしまったね。本当はなにをしてから、家に帰るべきだったかな?

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