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おりじなる

パレットアイランド

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第四話
『みんなで分けよう』
東環妃 & kino

ここはパレット島のすばらしの森。
先ほどまで雨がふっていたのですが、やんだようですね。
緑と雨のにおいが森にただよい、木の上では小鳥が体をフルフルとふるわせ、
雨つぶをふりおとしています。
「なんか空気がなまぬるいね〜」
「そうだね、えんのすけくん」
森の中からえんのすけくんとゴンちゃんの声が聞こえてきます。
ちょっと、のぞいてみましょうか。


えんのすけくんは歩いているとちゅう、おなかのあたりが少しへこんだ気がしました。
えんのすけくんにとって、それは おなかがすいたという合図なのです。
「ねえねえ、ゴンちゃん」
「なぁに?」
「ぼく、いいものもってるんだよね」
「え? なになに?」
えんのすけくんはポシェットの中から、大きなアメ玉を取り出しました。
「わーっ すごい、虹色のアメ玉だ! すごく大きいね。それに とってもきれいだ」
「じゃあ、いっしょに食べない?」
「いいの? うれしいな。ありがとう」
しかし、アメ玉は1つです。
えんのすけくんが言いました。
「半分こにしよっか」
「でも、どうやって?」
あたりを見わたすと、つくえのかわりになるような 大きな切りかぶがあり、
その近くには石ころが いくつかころがっていました。
「いいこと思いついた!!」
えんのすけくんは切りかぶの上に、つつみ紙をとったアメ玉をおき、石で
「えいっ!」
とたたきました。
すると、アメ玉がパリンとわれました。
「大きいのと小さいのに われちゃったね。半分ずつだと良かったのに」
それを見てゴンちゃんは言いました。
「これは えんのすけくんのアメだから、えんのすけくんが大きい方を食べなよ」
「そう? いいの?」
「もちろんだよ」
「ありがとう。それじゃ えんりょなく、大きい方をもらうね」
2人がアメを食べようとしたその時でした。

ブーン…… ブーン……

USビートさんが、フラフラになりながら とんできました。
USビートさんは、色々なじょうほうを伝えるお仕事をしています。
「こんにちは、USビートさん。どうしたの? なんだかフラフラしてない?」
「こんにちは。ゴンちゃん、えんのすけくん。そうなんだ。朝からずっといそがしくて、何も食べていないんだ」
ゴンちゃんはそれを聞いて、自分のアメをさし出しました。
「良かったら、このアメを食べてください」
おなかのすいていたUSビートさんは、とてもよろこびました。なぜならUSビートさんは
あまいものが大好きだからです。
「ありがとうゴンちゃん。とても助かるよ」
ゴンちゃんはUSビートさんも食べられるくらいに、アメを細かく くだきました。
すなのように小さくなったアメは、太陽の光にかがやいて、なんだか ほうせきのようです。
「それじゃあ、いただきます」
USビートさんが食べようとしたその時です。
「そのアメを、いただけないですか?」
と、どこからか小さな声が聞こえてきました。
「ゴンちゃん。何か言った?」
「ううん。何も言ってないよ」
「ここです。ここです。下を見てください」
言われたとおりに下を見ると、そこには王かんをかぶったアリアさんがいました。
USビートさんが聞きました。
「こんにちは、アリアさん。おなかがすいているんですか?」
アリアさんは言いました。
「いいえ、おなかをすかせているのは わたしではなく……」
よく見ると、アリアさんの後ろには たくさんの子どもたちが列を作っています。
えんのすけくんとゴンちゃんはおどろきました。
「わー! いっぱいいるー!」
「わ〜。かわいいですね〜」
アリアさんの子どもたちがつぎつぎに言います。
「おなかすいたー!」「もう、うごけなーい!」「なんでもいいからたべたーい!」
USビートさんはそれを見て言いました。
「アリアさん。自分はだいじょうぶですから、どうぞこのアメを子どもたちと食べてください。
ゴンちゃん、せっかく君からもらったアメだけど、いいかな?」
「もちろんですよ!」
「それではみなさん、さようなら」
アリアさんにアメをわたし、USビートさんがとび立ちました。
しかしおなかがすいていて力が入らないので、すぐにポトリと地面におちてしまいました。
ゴンちゃんがこっそりとえんのすけくんに言いました。
「ねえ、えんのすけくん」
「なぁに?」
「えんのすけくんのアメをUSビートさんに少しあげたら 、すごくよろこぶと思うよ」
「うーん。でも……」
えんのすけくんは考えます。
大事な虹色のアメ。
本当は、ゴンちゃんと食べたかったアメ。
しぶっているえんのすけくんを見て、ゴンちゃんが言いました。
「ごめんね、えんのすけくんのアメなのにかってなこと言って。えんのすけくんの分のアメは
えんのすけくんが食べてね。USビートさんの分は……僕がどうにかするよ。木の実を集めたりしてさ」
えんのすけくんはそれを聞いて、ちょっぴり自分がはずかしくなりました。
みんながこまっているのに、えんのすけくんは自分のことばかり考えていたからです。
そして、
「ぼくのアメも細かくして、ぼくとゴンちゃんとUSビートさんで分けようか」
と言いました。
それを聞いてUSビートさんはとてもよろこびました。
ゴンちゃんもニコニコです。
切りかぶの上で、えんのすけくんは、自分の分のアメをわりました。ちょっと大きいので、
何回も石でたたきました。
大きな一つのアメ玉は、けっきょく全部こなごなになりました。
ゴンちゃんが言いました。
「ありがとう。えんのすけくん」
USビートさんとアリアさんが言いました。
「ありがとう。えんのすけくん」
アリアさんの子どもたちもつぎつぎに言いました。
「ありがとう!」「すっごくうれしいよ!」「たべるのたのしみー!」
それを聞いて、えんのすけくんはむねがいっぱいになりました。
USビートさんはアメを食べて元気になり、ブーン! ととんで行きました。
アリアさんと子どもたちも、アメをもって帰って行きました。
「それじゃぼくたちも、帰ろうか。えんのすけくん」
「うん、そうだね」

2人は こなごなになったアメを食べながら、道を歩きます。
「ゴンちゃん。こういう食べ方もありかもね」
「そうだね。おいしいね」
「でもなんだかぼく、おなかいっぱいになってきたかも。アメ、あまっちゃったなぁ……」
えんのすけくんは考えました。
「そうだ。ここにうめよう」
土の中に こなごなのアメをうめました。
「いつか、アメの木が生えてきてアメの実がなったら、みんなでいっぱい食べようよ」
「それ、すっごくいいと思う!」
二人は森を出ました。
空には、大きな虹がかかっていました。


【考えてみよう、話し合ってみよう】
  • もしも君だったら、大きなアメ玉を友達と分ける時、どうやって分けるかな?
  • ゴンちゃんが「えんのすけくんのアメをUSビートさんに少しあげたら 、すごくよろこぶと思うよ」と言った時、えんのすけくんは どんなことを思ったかな?
    もし君が同じことを言われたら、どんなふうに思う?
  • けっきょく、えんのすけくんはアメをみんなで分けることにしたね。えんのすけくんはその時、どんな気持ちだったかな?
    今日 君は、だれかと何かを分け合ったかな? 

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